大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(ラ)944号 決定

審案するに、本件記録によれば本件建物部分を含む別紙目録記載の建物が債権者たる抗告人の所有であること、抗告人は本件建物部分にさきに占有中の渋谷竜志に対し右家屋明渡請求権保全のための係争物に関する仮処分申請をなし、その主張の仮処分命令に基づく執行が行われ、かつ同人に対する建物明渡請求事件として東京地方裁判所に訴訟が係属中であること、而して右仮処分執行当時には債務者渋谷竜志が右建物部分を占有使用していたが、その後退去して占有しておらず、相手方が占有使用していること、そして相手方の右占有部分の占有始期は右仮処分執行後であることが一応認められる。併しながら相手方が債務者渋谷竜志の占有を承継したものであるかは明らかではない。斯かる場合仮りに承継の事実がある限り抗告人は相手方に対し右渋谷竜志との間の前記本案の確定判決に基づき承継執行文を得た上右占有部分から退去を強制することができるものではあるが、これに反し相手方が債務者の意思の連絡なくして占有を取得したとすれば、前示のように民事訴訟法第二百一条第一項第四百九十七条の二に基づく本案判決の執行を忍受すべき地位にあるものとは解せられないこととなる。従つて抗告人において相手方が本判決の執行力を受ける適格を有するものであるか否かを懸念し相手方に対し新たに家屋明渡の訴を提起し第三者たる相手方を債務者として新な仮処分命令を申請する場合には抗告人申請の如き「当該建物部分に対する債務者の占有を解き債権者の委任する執行官に保管を命じる」旨の所謂断行の仮処分を求めることができるものと解するのが相当である。

(毛利野 石田哲 加藤)

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